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人権尊重フォーラムを開催しました。

概要

3月1日(日)徳島県立障がい者交流プラザ3階研修室にて,人権尊重フォーラムを開催しました。
約50名が参加し,終始緊張感を持って,行われました。

フォーラムの様子

開会のあいさつ・主催者あいさつ

13時30分猪子光枝事務局長の開会のあいさつで,フォーラムが始まりました。次に,猪子和幸理事長が主催者あいさつを述べました。
来賓の方々へのお礼の言葉,参加者に対してねぎらいの言葉を述べました。そして,本フォーラムが,平成26年度徳島県自殺予防対策モデル事業の一環として実施するものであり,人権尊重の恩恵に最もあずかる団体として,この事業に率先して取り組むことが,団体としての使命であると,まとめました。

写真:猪子光枝事務局長
写真:猪子光枝事務局長
写真:猪子和幸理事長
写真:猪子和幸理事長

来賓挨拶

まず,徳島県保健福祉部保健福祉政策課岡田課長に登壇していただきました。岡田課長は,自殺者数は全国的に減少傾向にあるが,徳島県では,平成24・25年と増加しており,平成26年は減少に転じたがそれでも169名の命が失われたました。これは交通事故の死者数31名の5倍以上でです。特に青少年の自殺者が増加しているので,焦点を置いて取り組む必要があり,互いの心のSOSに気づいて,関係機関につないで行くという,自殺予防サポーターの取り組みを広げていきたいとまとめられました。
続いて,川端正義県議会議員に登壇していただきました。川端議員は,精神科の医師であり,自殺予防協会の理事である立場で,精神医療と自殺予防の面から本フォーラムの内容を十分把握したいという思いで参加しました。インターネットから自殺の予防につながる情報を引き出し,予防に使えれば,大変すばらしいと思います。
県政において議会の場でも自殺予防につなげていきたい,と述べられました。

写真:岡田芳宏保健福祉政策課長
写真説明:岡田芳宏保健福祉政策課長
写真:川端正義県議会議員
写真説明:川端正義県議会議員

基調講演

NPO法人イー・エルダーの鈴木政孝理事長が「インターネットの光と影~子どもを被害者にも加害者にもさせない~」というテーマで基調講演をされました。最初に,昨今の長寿社会や科学技術サービスの発展,国際文化・伝統・おもてなしなどに触れられ,その中で,インターネットは利便性の良いツール。時空を超えた利便性と快適さにより,ネット社会は地方の時代であり,ソーシャルビジネスにつながる,と述べられました。
次に,財政健全化や少子化などの日本の課題を挙げられ,その対策について述べられました。特に,子どもに迫るネット危機について,(1) ネット依存,(2) ネットいじめ,(3) ネット誘引による性的被害、暴力,恐喝,(4) ネット詐欺の4つを挙げられ,その対策として,スマホにフィルタリングを設定していない子どもの95%が被害にあっているというデータを紹介され,フィルタリングを設定し外さないこと,一人で悩まず家族、学校、警察などに相談すること,日頃から、保護者と子どもで一緒に、家庭内のルールを作ることを述べられました。
ただ,2013年,厚生労働省研究班の調査で420万人を超えているというネット依存症については,アルコール依存症の100万人超に比べると大変な数字であること,一度始めたらやめられなくなるオンラインゲームによる依存が大きいこと,また,日本には専門の研究機関・治療機関が1か所しかなく,野放し状態であり,「インターネット・ゲーム依存症」になってしまうと依存症の人の脳は,「脳の報酬系」のコントロールが効かなくなり,脳の機能(線条体:大脳皮質や視床と脳幹を結ぶ神経核。ドーパミンの増加により,仕事・勉強・運動などの社会的な報酬系の快感興奮を知覚する神経機能。)が壊れてしまい,短絡回路=ゲームを続けることしか快感を感じなくなる。つまり,麻薬中毒患者の脳と全く同じことが起きているので,治療は困難であるとのことを説明されました。
そこで,その対策として,効果をあげている事例として,昨年4月から愛知県刈谷市教育委員会での,必要のない携帯電話やスマホを持たせない,契約時に「フィルタリングサービス」をつける,午後9時以降は,親が預かると言った対策を紹介されました。また,韓国,中国,タイ,ベトナムでは,既に児童の使用には政府が主導で一定の規制を行い,効果を上げていることも紹介されました。
まとめで日本の進みべき方向性として,「若者が希望の持てる社会」,「高齢者が住みやすい社会」,「外国から信頼される国」の3つを挙げられ,その対策として,インターネットにおいては,「利活用の拡大・高度化」,「トラブル・依存症対策」が早急に必要であると述べられました。
最後に「ご参考」として,ご自分の「楽しみ」について,江戸時代の歌人「橘曙覧(たちばなのあけみ)」の「たのしみは・・・」で始まる「独楽吟」の中の歌を引用され,「たのしみは、鳴門市に来て JCIで働く キラキラ光る眼を見る時」と言ってくださいました。

写真:NPO法人イー・エルダー鈴木政孝理事長
写真説明:NPO法人イー・エルダー鈴木政孝理事長

事例発表

徳島県自殺予防協会の近藤治郎名誉理事長が徳島県の自殺予防活動について事例発表をされました。
はじめに,徳島県の自殺予防活動については,ごく一部分をお話しさせていただき,そのあと,そこで教えられたことを報告しますと話されました。
まず,徳島県の自殺予防活動は,近藤名誉理事長ご夫妻が始めた活動(いのちの電話)が1979年7月7日に徳島新聞に紹介されたことが一般に知られている自殺予防活動の最初で,この年は,徳島県の人口10万あたりの自殺率が全国で5番目に高かったこと,始めるときに多くの人に笑われたこと,クリスチャンの仲間に声をかけ,当初25人集まったが,3回の会議で4人に減ってしまったことなどを話されました。
その後,一生懸命努力された結果,平成15年(2003年)には,徳島県は全国一自殺率の低い県になりましたが,最近はまた高くなっています。しかし,数値の上がり下がりなどで一喜一憂するのではなく,必要なこと,やらなければならないとことを一生懸命やることが大事であると話されました。
また,徳島県の自殺予防の歴史の中で大きく変わったこととして,10年前,黒川県議会議員(現三好市市長)が,尋ねてこられ,「県議会で自殺予防に関して何かできることはありませんか」と言ってくれたので,「県議会で,徳島県は自殺予防の担当部署は置かないのですか」と代表質問して欲しいとお願いしたところ,保健福祉部保健福祉政策課が担当することが決まったことを話されました。
このあと,近藤名誉理事長が自殺予防活動を始めるきっかけとなった事について話されました。
40年前,不幸な生い立ちからいたく傷ついて成長し,中学を卒業し就職するが,頑張りすぎてついにはうつ病になってしまい,入水自殺しようとしたが死にきれず,知り合いの教会に保護された一人の女性と出会い,彼女の相談にのっているうち,彼女から教えられたこと,それは,人間にとって一番悲しいことは,だれにも愛されていないということです。そして,どんな時に自殺するかというと絶望するときです。人間と社会に失望して,「死んだほうがマシ」だと考える。これが自殺だと思います。だから,教えるより,話を聞いてあげて欲しい。人間が信じられるようになると,人間て嫌な人ばかりじゃないいい人もいると思えて来たら,生きる希望が湧いてきますと話されました。
最後に,私たちが心から愛を持って,尊い人,かけがえのないものと思って,大事に思ってかかわっていくことが自殺予防につながると締めくくられました。

写真:近藤治郎徳島県自殺予防協会名誉理事長
写真説明:近藤治郎徳島県自殺予防協会名誉理事長

平成26年度徳島県自殺予防対策モデル事業(ネット監視事業)中間報告

平成26年度徳島県自殺防止対策モデル事業(ネット監視事業)の中間報告をJCIの事務局職員で,この事業のチームリーダーである村上晶一が行いました。
JCIの活動について簡単に紹介した後,この事業についての概要を説明しました。
まず,徳島県から公募があり,事業主体・事業内容・実施期間が条件に合致し,JCIはインターネットの恩恵を受けているが,インターネットには影の部分が存在する。その影の部分(自殺・薬物・いじめ・人権侵害)を監視する事業(ネット監視事業)を提案して採択されたことを説明し,この事業の内容(ネット監視,フォーラムの開催,専用ウェブサイトの開設,報告書作成)を説明しました。
次に実際の監視作業について,事前準備としてマニュアルを作成したこと,作業員の募集方法,研修会の開催,マニュアルの配布について説明しました。
そして,実際の監視作業について,監視作業の準備,ウェブ検索による監視作業の方法,監視対象サイトの監視作業の方法や通報窓口などについて詳しく順を追って説明しました。
そのあと,この作業の中間報告として,表やグラフを使用し,集計した数値データを公表し,説明しました。
今後の展開として,この事業は今年度で終了するが,私たちは,監視作業を継続していくこと,専用サイトは維持して行くので利用して欲しいこと,監視作業や通報は簡単にできるので,大勢の方に参加してほしいことを話し,最後に,IHC(インターネット・ホットラインセンター)のサイトを見ていただき,通報方法を説明して,締めくくりました。

写真:村上晶一事務局職員
写真説明:村上晶一事務局職員